「北朝鮮」って呼ばないで!

2008年9月12日 河野康弘(ジャズピアニスト)

「KOREAこどもキャンペーン」の「南北コリアと日本のともだち展」朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への文化交流(8月23日~27日)に参加しました。
飛行機が平壌空港に近づくと美しい緑の大地が眼下に見えてきました。南の韓国の風景は日本の本州のようでしたが、こちらは北海道のイメージです。平壌空港は飛行機も数機しかなく、のんびりとした感じ。入国手続きをしてロビーにでると朝鮮対外文化連絡協会(対文協)の皆さんが暖かく迎えてくださいました。
板門店・ケソン市軍事境界線見学、小学校訪問、ピョンヤン市内観光、子ども達の笑顔にいっぱい出会い、美味しいものもいっぱい、楽しく充実した5日間でした。

小学校訪問では同行した在日朝鮮学校の子ども達の日本での「南北コリアと日本のともだち展」をスライドを使っての報告。わたしもピアノを演奏。「台風」という曲でいろんな奏法で演奏したら子ども達は目を丸くしてました。また「ワッハッハ」と皆で笑い、沢山の子ども達が楽しそうにピアノに触れてくださいました。そして朝鮮の曲の楽譜をいただき僕が伴奏して子ども達が歌ってくれました。音楽は国境、言葉、人種を超えて人類が仲良くなれる神様からの贈り物ですね。

対文協の方は、日本語がとても上手で、いろいろお話しをしました。お互いの立場の違いや、歴史認識の違いなどがあります。でも自国を愛して一生懸命生きていらっしゃるように感じました。
 その中で質問しました。

河野「一番日本に対して、いやだな、と思うことはなんですか?」

対文協「北朝鮮と呼ばないでほしい」

との答え。

 北朝鮮は朝鮮の北側、地域名です。国名は朝鮮民主主義人民共和国。北朝鮮は国名ではありません。

韓国(大韓民国の略)と国名で呼んで朝鮮民主主義人民共和国を北朝鮮と地域名で呼ぶのはとても差別的に聞こえるようです。

 そんなこと、思いもしなかったので、驚きました。相手が呼ばれたくない呼称で呼ぶのは「いじめ」です。

 「朝鮮」と呼んで欲しいとおっしゃっていたので、そうしようと思いました。

 

 帰国してから、呼称について調べてみたら、わたしが無知だっただけで、数十年に渡って政府、マスコミで問題になっていたことがわかりました。

 小泉首相訪朝前まではマスコミでは朝鮮民主主義人民共和国と表記していたのに訪朝後、政府やマスコミが議論、審議し決定したのは「北朝鮮」でした。

 「北朝鮮」は敵対する呼称のように思いました。

 今回の訪朝を機に、わたしは個人として「朝鮮」を使い、また、できるだけこの話しを伝えていこうと決めました。

 朝鮮では昨年は大きな水害もあり食料が不足しています。「KOREAこどもキャンペーン」では子ども達の交流の他に食料の支援もなさってきました。素敵な活動に感激。また朝鮮の皆様と交流を通じて信頼関係を作ってこられた事に敬服します。

 国と国、というより、政府と政府によって、個人が分断される仕組みに甘んじていては、いつまでも戦争の歴史が続きます。戦争や敵対感情から卒業した個人が増えることで国も変わっていけます。
「北風と太陽」北風では問題は解決できません。日本が太陽になる事を願っています。お隣の国と仲良くしたら軍隊はいりません。まずは「北朝鮮」って言うのをやめる事にしました。